マンガが売れなくなっちゃったんだって。
出版、最後の砦マンガ沈む 海賊版横行で販売2ケタ減 :日本経済新聞
13%も減少したんだって。
そこで、今年の売れたマンガをオリコンでチェックしてみたんだけど…未だにONE PIECEが年間売上の1位なんだな…。(【2017年 年間本ランキング】 『うんこ漢字ドリル』が計220万部超えで総合上位を席巻! “キミスイ”文庫がミリオン突破 5ページ目 | ORICON NEWSを参照)
なんか、V9末期~第一次長嶋政権、あるいはここ最近の巨人軍みたい…。
ONE PIECEが面白くないって話じゃなくて、今年一番売れたマンガの1位~4位がワンピースの84巻~87巻ってのが、
「連載期間が長すぎてもう飽きたり、脱落したりして売上が落ちてもしょうがないマンガがトップ4独占してる時点で、20年単位でマンガ全体の一位を独走してるってのはどうなんだよ!?」
って話。
「80冊も読まないと最新の話についていけないマンガ」が1位突っ走ってるってことは若い子の間での新しいブームを作ってこられなかったってこと。
ONE PIECEは怪物すぎるというのももちろんあるんだろうけどさ。
ジャンプもバカじゃないから、50巻以上続いてるような超長期連載をここ数年で一気に終わらせて、最近の作品を持ち上げようとしてるし、そのせいかとしてヒーローアカデミアや、食戟のソーマも年間ランキングのトップ10入りしてる。
たださ…ソーマや僕アカがネットスラングになって、日常会話に食い込むほどブームしてるかって言ったら…それは違うじゃない?
みんながドラゴンボールやジョジョやONE PIECEやNARUTOやBLEACHのマンガの象徴的なシーンを抜き出して世代を超えて日常会話に使ってたようなことは…現状起こってないじゃない?
「マンガが売れなくなったのはジャンプつまんなくなったから」というタイトルにしたけど…これ、すごく高次元なレベルの話ね。
「国民的な話題にならない」とか「世代もキャラクターも超えなくなった」とかそういう次元ね。
未だにマンガの中ではジャンプが強いし、ブランド力もあるし、新しい人気作品もでてきてるけど…20年前に比べて増えすぎたコンテンツや、時代の流れに少しだけ埋没してきている…って話。
圧倒的な強者が出てくる時こそライバルも含めて、その界隈が盛り上がる。
最初にV9って話を出したけど…野球の人気って「圧倒的に強いチーム」が出てくると全体が盛り上がる。
今のプロ野球なんかもまさにセ・リーグは広島が圧倒的で、パ・リーグはソフトバンクが他の球団が束になっても勝てないほど…強い。
絶対的に強いチームがいると、選手もファンも「妥当、絶対王者」で盛り上がるし、それを演出するヒーローは、王者と同じかそれ以上に取り上げられる。
セ・リーグで言えば、横浜DeNAや山田哲人で、パ・リーグで言えば大谷翔平や田中将大。
…マンガもそうで、みんながジャンプジャンプとうるさい時こそ、マガジンやサンデーで、あるいはもっとアングラなガンガンやエースで面白いマンガを…という人は作る方にも、見つけるオタクにも出てくる。
ガンガンが鋼の錬金術師やソウルイーターで盛り上がった時なんて、まさにジャンプがONE PIECE、NARUTO、BLEACH、銀魂で大盛り上がりしてる頃だったし…。
ガンガンの話を持ち出した理由はですね…ガンガンの発行部数の発行部数は鋼の錬金術師終了後にがくんと落ちて…2015年には2万部まで落ち込んだから。
ジャンプが200万部を割って「ピークの3分の1以下」と話題になってたけど…ガンガンに至っては、「ピークの20分の1以下」ですからね!?
トップランナーがしょぼくなると、そのライバル達はもっとしょぼくなる。
「ジャンプがガンガンのライバルってことはないでしょ!マガジンやサンデーで数字出しなさいよ!!」
とか言われそうだから出しておくと…マガジンは4分の1以下、サンデーは5分の1以下。ガンガンほど酷くはないけど…それでも、ジャンプより重症には違いない。
もちろん、「電子書籍に移行してるから紙の雑誌が減ってる」というのはある。だから、ある程度はしゃーない。
でも、電子書籍はたくさん保存したり、自分の好きな作品をガンガン探せるオタクにはありがたいサービス。
だけど、流行りや集団心理に流される一般大衆には「何を読めばいいかわかんない」形になりやすいから…ますます、圧倒的な強者…みんなが知ってるような作品は生まれにくくなると思う。
今の10代の子は、どこでマンガ探すんだろう?
もし、スマホアプリなら嫌だなぁ~。
スマホアプリで読めるマンガは、紙の雑誌よりも数段落ちる作品が多いから、マンガアプリきっかけでマンガ読んだ人は、90年代半ば~00年代前半の週刊誌の部数が多かった時期の人達ほどマンガにハマらないだろうなぁ…。
かと言って、家族のパソコンで好きなマンガの電子版購入するのは、子どもにとってはハードル高い。
だからといって、2010年代に都市部で育った子どもは僕らがやってきたように立ち読みや友達のジャンプコレクターの家に転がり込む…ってこともできないだろうなぁ~。
デジタルなもの全般に対して言えることだけど、デジタルを便利に使いこなせるのは、自分でググるだけの予備知識があるやつだけなんだよ。
ググるまでの予備知識とか、基礎力をアナログな場所や人間関係から拾えないと新しいファンって育たないのよね…。
そういうふうに考えると、
・紙の雑誌が売れない/置かれてない環境は痛いし
・面白いマンガをネットで読もうとするとアプリよりも不法サイトになるのも痛いし
・よしんば、紙の雑誌を手に取ってくれても長期連載の作品ばかりの雑誌が増えちゃってる。
食戟のソーマや僕等のヒーローアカデミアが、00年代のジャンプで連載されてた作品よりも質的に劣る…とは思ってない。
でも、面白いものを知り尽くした…面白い時のジャンプを多感な少年の頃に読んだせいで、よっぽど面白いものを作ららないと熱狂しないで「ジャンプがつまんなくなった」と感じちゃう大人も、これからずっと読み続けていく10代も取りづらい環境になってる現状は…マンガにとってしんどい状況ではあるよなぁ…。
ありとあらゆる娯楽の宿命と言えば…そうなんだけど…先細り・ファンの高齢化と卒業は避けられないだろうなぁ~。
こればっかりはネットの片隅で面白いマンガを勧めていくとか、ネットで面白い人を拾っていくとか草の根活動じゃどうにもならない。
今の10代がそもそも、ググったり、面白いマンガを理解するだけの基礎力をつける場所がどんどん減ってるから…。
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本家青二才の記事だけど…もし「じゃあ、面白いマンガを読ませてくれよ」って人がいたら、この中から選んで読んで。
実用的なファッションマンガから、酸いも甘いも知り尽くしたオタクが読んでも衝撃を受けるすごい作品までざっくばらんにいいのが揃ってるから!!